骨を叩くも


只々膨張を続ける胸部あたりにある何かは、着々と呼吸を妨げる。

私はここに、たった一つでいいから空気孔が欲しかった。


できればパイプくらいの、

や、ストローの穴くらいの、

寧ろ、針の穴ほどの小さいものでもいい。

排出させる出口が欲しい。

逃げ道が欲しい。


相反して

「そんな欲深いことを望むな」とも同時に想う。

とても私らしいと思う。


気づくと、自身の鎖骨をコンコンと叩き続けていた。

胸部でないそこを叩くことに何の意味もないと理解している。

まるで自傷行為のように、一定のリズムでコンコンと響き続ける骨の音。


浅くて薄い呼気しか出なくても

骨のノイズで意識を散らせるように

膨張への意識を紛らわすように

私を慰めるように

今年はどれだけ、骨を叩き続けただろう。


それでも言葉は出てこなくて。