27階から
コロナ、戦争、地震、自死報道。
リプ欄の罵詈雑言、真逆のところに、自己肯定感増し増しの写真。
「いちいち気にしてたら生きていけないよ〜」と励ましてくれるその人は、
それはもう何があっても崩れることのない強靭な心とブレない精神と鋼の身体をお持ちの方なんだろう。
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絶対に忘れたくない、忘れてはいけないと心に誓っていたものがどうしても思い出せなくなった時、
積み重ねた一秒、一分、一時間、一年の濃密さと儚さ、
その間に積み重ねられた自身の経験との差に何とも言い表せない、悔しさに近いものを覚える。
それは相手に対しての悔しさではなく、自身に対しての悔しさ。
私も刻々と老いていく。
ただ、「過去のもの」として据え置く重要さも勿論理解している。
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此処に付け足すなら、「忘れてはいけないもの」。
刻々と老い、刻々と自身に刻まれる。
いちいち気にしてたら生きていけないのも重々承知ですが、
「そうだよね〜」と 口角だけ上げながらその場をやり過ごすしかなかった。
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思い出せなかったものはタバコの銘柄で、
その理由を後々考えてみたら、「メンソールだけど毎回違う銘柄を吸っていた、気がする」というところに落ち着く。
うん、たしかそうだったはず。
弱いもの、忘れていくもの、消えて溶けていくもは沢山あった。
今もある。
でも、まだ過去のものとして据え置くには早いものもある。
忘れたくないものも、忘れてはいけないものもある。
この渋谷から新宿にかけて、更にその四方と霞む空と遠い山々を、ビルの27階から眺める。