B7口から

 

しれっと約2ヶ月休んだことになる。


久しぶりのバスは冷房の気合いが入りまくりで、引きこもった間に時節はすっかり進んでいて、剪定された枝からは輝かしい黄緑色の葉が揺れていて、髪はバランスが崩壊するほどしっかり伸び切っていて、買い物帰りのお姉さんは白のノースリーブで、私は黒の半袖で。


休もうと思って休んだわけでもなく、

休まなければならなかったわけでもなく、

休みたいと思ったわけでもない休みは、良く言えばメンテナンス。

しかし無音を望み、大きく暴れ始めている波が収まるのをじっと待っていた様は、

メンテナンスなどと綺麗なものではなかったように思う。

嵐が過ぎ去るまで私たちの知らない何処かに身を隠しているような、野生動物に近い気がした。


狂ったように本を読んでいた。

本を読みながらボロボロ涙が落ちたのは初めてだった。嗚咽を漏らしたのも初めてだった。

ずっと探していた答えがAmazonから届いた何十冊の本の中の一行に在った。

この2ヶ月の唯一の僥倖。


バスから地下鉄に乗り換え数十分。再び地上に出る。

登りの階段はまだ息切れがする。

B7口を出ると物ものの生命力に眩暈がする。

知らぬ間に肘を蚊に刺されていた。