浄化の雨 - 愛知①

台風で悩んだ帰省。

地元の駅に着き

早速洗礼の雨を浴びた。


紺のTシャツは雨でどんどん濃くなっていく。

それでも何故か「このままでいい」と

潔く濃紺に染まった。


暫くして雲が退いた。

お散歩がてらコンビニまでの数十分、

湿る空気を纏わせて頂きながら歩く。


青とオレンジの空

それを行き交う電線

花弁に滴る雫

茎には動かぬ蟷螂


家々を見渡すと

静かに閉まり続ける窓。

綺麗だった細い水辺には草が生い茂り

水は堰き止められている。

公園横の土手に、

春は未だつくしは生えるのか。

その公園の木製の看板は

朽ちたのかアルミ製になっていた。


公園の奥に遠く目をやると

変わらず在る

雲に隠れた山々。


断片的に、

そして段階的に一つずつ

身も心も「地元」を理解し、染まる様が

自分でとても面白かった。


洗礼の雨、ではなく

浄化の雨だったのかもしれない。


時を感じながら息が吸えた。

過去の哀歓全てを、深く吸えた。