ただ「好きだから」後編

私はなんて無力でビビりで勝手に慄いて只々息をしている動物なんだろうと思えてしまう。
この街は私に余計そう思わせる聳える脅威たちがある。

だからこそ、不明瞭だけど、「好きだから」と第一声で肚からポロリと出てしまうような相手を、御守りのように身体の中で強く温かく握りしめる。
そこに科学も弁明もロジカルさも必要はない。論文ではないから。

孕むものを想い、それが今日の救いとなって、明日も駒の一部となってコンクリートの世界を歩く。