続・手の届かない嫉妬

 


世界線、という言葉を出した8月27日の日記。

驚くほどタイムリーで息を呑んだ一節。


「打破したり咀嚼したりして、消化していく」


過去をよく想う。

過去のことをよく覚えている。

私は絶望を打破することはできず、咀嚼を選んだ。

過去も打破をする勇気は無く、私なりに咀嚼した。


その消化は消えてなくなってしまう「処理」の意味の消化ではなく、

ほんの少しでいいから、「十分に理解して自分のものにする」の意味であって欲しい。


そのまま行けば勝手に建立されそうな未来も、

咀嚼だけでなく、時に打破して欲しい。

背後にいる私が前にいる私をぶち抜いていって欲しい。


このさり気ない一節は私にとって希望。

答え合わせのよう。



金原ひとみ「デクリネゾン -第2話 小さく肥えた羊- 」より