fragile

(以下会話英語)
「君はよく髪を触るね。」
「髪をよく触る人はfragileなんだよ。」

そんなこと、私が一番よくわかっている。
迷いが生じた時、私はいつも髪を触る。振り切るように前髪を退かす。退かした前髪をまたフロントに戻して退かす。掻き上げる。手櫛をする。

左斜め前方からどストレートに受けたその英語は、無性に私の心を抉った。
その人は決して悪くない。経験値を基に会話の一つとしてそれを放っただけで、むしろ洞察に長けている人なのだろう。

「大丈夫、君のヘアスタイルは素敵だよ。」

日本人同士だと初対面ではまぁ言わないであろう言葉が、私にはある意味新鮮だった。

抉られた傷の表面は悔しさ。
裏面は、「わかってくれてありがとう」と泣いてしまいそうな安堵。