I am divided into two.

Soliloquy, Stupidity, and the Reality of Me #5
/cited from Tokyo Analog


久しぶりの電車、強い雨。気管を通る冷たい水蒸気、それを纏い重くなる人。
扉が開いた途端目に飛び込む湿った人々に目が眩んだ。

首の付け根がギギッと硬直する感覚がある。あー来た。
でもあと6駅..5駅..あと4駅..
一生懸命アホなことを考えようとしたが、今日は負けた。
途中で電車を降り地上へ出、再び気管に水蒸気を通らせる選択をとった。

早めに家を出たのが功を奏し、ここからタクシーを飛ばせば時間には間に合う。
幸いにもすぐにタクシーが捕まった。

「祐天寺の方までお願いします。」

負けた私を振り切るかのように普段の1.5倍、声のトーンを上げる。


______



無事仕事を終え、最寄りの駅まで歩く。
雨は朝よりも強くなっていた。

防水スプレーをふりかけたスニーカーにも水が染み込む。
凹んだコンクリート上の水溜りに行手を阻まれる。
軽くジャンプをして飛び越えたが、9歩進んだところで道を間違えたことに気づく。
振り返ってまた水溜りをジャンプする。

足が冷える感覚を覚えながら呆然と電車に乗る。
渋谷で降りて、更に迷う。いつまで経っても慣れさせてくれない、それが渋谷。

バスに乗り発車するまでの間仕事のメールを返そうとスマホを開くが、
朝からの緊張の糸が切れたのか、指が勝手に右側面のボタンを押していた。

いつの間にかバスは発車していて、
眺めていた窓は曇っていて、
イヤホンからはLAPSLEYのHurt Meがタイミングよく流れてきて、
何度目だろう、またバスの中で泣きそうになっていた。


Whenever this happens, I start thinking.
I am divided into two.


自分で書いておきながら(自分で書いているからなのだが)、
ほんとそうだよクソが、と殆思う。

今日みたいな日は、もう一人の私に助けられている。


帰宅してからスニーカーを乾かし、冷えた足を厚い靴下で温めた。