帰る場所、頓服

 

暫し東京を離れたいと思っていたタイミングで大阪でのお仕事が入っていて、カレンダーを見てはその日を「少しでも救いになれ」と何処ぞの神ように祈り続けた。


5,6年前だったか、「しんどくなったらその場所から直線距離200km以上離れている場所に行け」と言われたことを思い出した。

200kmにどんな意味があるのかは未だに謎だけれど、その言葉は今でも私の頓服薬となっている。


20代の頃、死ぬほど通った大阪。

大学を卒業して「社会」を学んだ大阪。

大学の同級生とは少し違うかもしれないけど私なりの「社会人」を育ててくれた大阪。


偶然にも撮影スタッフさんに当時お世話になったヘアメイクさんがいた。


いつかクソ生意気な名古屋弁の小娘が「直接はできなくても、いつか私の姿を見てもらうことで、恩返ししたい」と言っていた。

そのターンが始まりつつあるのか、と噛み締めながら新大阪を出る。


新宿のビル群にどこか安心している私に気づきながら、

それでもこうやって、たまに帰る場所が、受け入れてくれる場所が、頓服薬となる場所が必要なのだと、

緩やかに新しいターンの始まりを踏み出した気がした。


(ていうかドンキの場所絶対変わったよね?)