スキップの彼女
暖かいを超えて寧ろ暑くて、サンキュー太陽!と素直に感謝ができて、いつも失敗する2度塗りペディキュアが調子良く塗れて、よっしゃビーサン日和!と今季初履きのビーサンと、最近気に入っているロンTとサングラスの装備で勢い良くお散歩に出かけた日。
それでも私はすっかり大人になっているようで、
スマホのカメラは人に怪しまれぬよう、
盗撮してると思われないよう、
「パシャ」の音がうるさくならないよう、
サングラスをしていても不審者に思われぬよう、
常に謙虚に、周りをよく見、空気を読み、その場にいるただのヒトであるよう、
感情をなるべく殺し、社会とバランスを保つ。
遊歩道を歩く鳩の横アングルがあまりにも美しかったから凝視していたけど、
通りすがりのお姉さんがその様子を見て逆に私を凝視していらしたので、
彼女の精神安寧保全の為にそっとその場を去る。
帰り道、ランドセルを背負いスキップをしている子と曲がり角で鉢合う。
スキップして気分が良かったのだろうに私と目が合って気まずいだろう、ごめんね、となんだか申し訳ない気分になってしまったけれど、
彼女はスルリと視線を外し、そのままスキップで私の先を行った。
どんどん私から離れていった。
彼女ぐらいの年齢時の私を想起してみたけれど、
私にしかわからないこんなウキウキを大人に、しかも見知らぬ大人に見られたら、
なんだか恥ずかしくて無意味に謝って秒で真顔の二足歩行に戻ってしまうだろう。
そうか、私は幼少期からこうだったんだ。
人の目を気にしていたんだ。
私は此処に居ていいのか、場違いでないか、浮いていないか、迷惑をかけていないか、バランスを取れているか。
「そんなの性格の違いでしょー」とか「大人なんだからしゃーなしでしょー」とか「逆に空気読まなヤバいっしょ大人はw」なんて、そんなことはわかりきっているけれど、
それでもどうしても私は、もう姿が見えなくなるほど私の先を行ってしまった、
スキップの彼女が羨ましかった。