渋谷発タイムトラベル経由



珍しく渋谷での打ち合わせがお昼過ぎには終わった日、普段は乗らない真昼間の渋谷発のバスに乗ると、面白いぐらい70代ほどのおじさましか乗っていないバスだった。
私このバス乗っていいんかや、と思うほど。

会話を聞いているとどうやら「過去に共に働いてた仲間たち」若しくは「○○会の新年会」らしい。
(いまはもう人自体が少なくなっているが私の祖父も戦時中の「軍人会」に入っていたからそんな感じかなぁと思った) 「あの頃は〜」とか「いまは趣味で〜」とか「○○さんが〜」とか身内話で埋め尽くされており、
後ろの席に座った私に、
いい感じに髪の毛が薄くなっている方々の会話と緩む表情とバスの中の一体感が私を押し、

私はこの人たちの年齢になる頃はこうやって楽しそうに生きてるだろうか、とふと思う。

いま目の前にいる彼らの容姿とは想像がつかないが、彼らにも私の年齢の時代はあり、
薄くなった髪も、厚手のチェック柄のコートも、何故かその歳になるとかぶりがちなハンチング帽も、
私の目には見えない彼らの時間を想うと渋く、格好良く、同時に自分への不安も募る。

各バス停で一人降り、二人降り、だんだん少なくなる仲間とタイムトラベルに入ってしまった私。

いつかは彼らのように笑っていられるようにと、そのいつかを想いながら仕事始めの打ち合わせの日。

しかし何故ハンチング帽かぶりがちなのか。
ブレない流行。

#hakodiary